「100歳の現役農家夫婦を見つけてほしい。CMの主人公にしたい。」——そう依頼が来たのは、放送まで3か月を切った2025年初春のことだった。食品メーカーA社の創業100周年を記念したテレビCMに、「100年を生きてきた現役の人物」を起用したいという企画だった。フリードはその依頼を引き受け、北海道の農村地帯を舞台に、前例のない人物リサーチを展開した。本稿では、その全プロセスを詳細に公開する。
依頼内容と初期条件の整理
依頼元は広告代理店B社を通じた食品メーカーA社(食品・飲料部門)。創業100周年を迎える2025年秋のCMに向けた企画で、「100年生きてきた現役の人物を主役に」という方針が固まっていた。条件は以下の通りだった。
- 年齢条件:100歳以上(2025年時点)で、かつ日常的に何らかの「仕事・活動」を続けていること
- 職業:農業・漁業・食に関わる職業が望ましい(食品メーカーとのブランドイメージ整合)
- 地域:北海道または東北が望ましい(大地・自然のビジュアルイメージ)
- 家族構成:夫婦や家族が揃っていると尚可
- 撮影許可:本人・家族の同意が必要(出演料交渉含む)
「現役で農業を続けている100歳以上の人物」という条件は、一見すると非常に難しい。しかし、フリードは過去30年の人物リサーチで蓄積してきた「超高齢現役者データベース」と、全国の農業委員会・老人クラブ・地方紙ネットワークを持っていた。まずはそこから調査を開始した。
第一フェーズ:デスクリサーチと候補者リストの作成
リサーチ開始後の最初の2週間は、徹底したデスクリサーチに費やした。フリードが持つ「100歳超の現役従事者アーカイブ(2000年代以降の新聞記事・テレビ番組記録を横断検索した独自データベース)」を活用し、北海道・東北の農業従事者を絞り込んだ。
デスクリサーチで参照した情報源
- 地方紙(北海道新聞・東奥日報・河北新報等)の過去15年分のデータベース
- 農林水産省「農業センサス」の高齢農業者データ
- NHKアーカイブス・民放各局過去放送記録
- 各都道府県の「百寿者表彰式」記録(自治体広報誌)
- フリード独自ネットワーク(地方記者OB・農業委員会関係者)への非公式ヒアリング
この段階で全国から40名以上の候補者をピックアップ。北海道在住者に絞ると12名に絞られた。さらに「現在も農業を続けている」「夫婦そろって存命」という条件で残ったのは3名だった。
第二フェーズ:現地取材と接触
候補者3名の事前リサーチを経て、フリードのリサーチャー2名が北海道に飛んだ。現地取材では、まず直接の接触ではなく「地域のつなぎ役」を通じてアプローチする手法をとった。これはフリードが長年の現場経験から確立した「高齢者リサーチの鉄則」だ。
段階的アプローチのプロセス
- 地域農協・農業委員会への挨拶訪問:フリードの身元と目的を正式に説明。紹介状を取得。
- 地域コミュニティへの参加:集落の朝市・老人クラブの会合に参加し、自然な形で地域に溶け込む。
- 家族経由での初接触:対象者の息子・娘世代にまず連絡し、目的と安全性を説明した後、本人への紹介を依頼。
- 初回面談(非撮影):カメラを持たず、雑談形式で本人の意向・体調・生活ペースを確認。
この段階で最有力候補として浮上したのが、北海道上川郡の田中喜平さん(仮名、当時101歳)とハナさん(仮名、当時99歳)のご夫婦だった。田中さん夫婦は、大正末年生まれで戦中戦後を農家として生き抜き、2025年時点でも自家の畑で野菜を育て続けていた。
重要だったのは、田中喜平さんが「取材される」という行為に対して非常に協力的だったことだ。地元テレビ局の取材を過去に数回受けた経験があり、カメラに慣れていた。また、息子夫婦も「父の生き方を記録に残してほしい」という思いを持っていた。
第三フェーズ:撮影許諾の取得と契約
候補者の合意が得られた後、フリードは広告代理店B社およびCMプロダクションと連携して、撮影許諾の法的手続きを進めた。高齢者本人が契約当事者となる場合の注意事項は多い。
許諾取得で確認した事項
- 意思能力の確認:家族および担当医師に、本人が契約の内容を理解できる状態にあることを確認
- 法定代理人の設定:念のため長男を代理人として契約書に連署
- 放映範囲の明確化:テレビCM(全国放映)・WebCM・交通広告を含む全媒体を明示
- 体調配慮事項:撮影時間は1日3時間以内、休憩を30分ごとに設定
- プライバシー保護:住所・電話番号等の個人情報は非公開、最終的な公開内容の事前確認権を家族に付与
また出演料については、フリードが代理店・プロダクションと三者協議の上、当初想定を大幅に上回る条件を田中さん側に提示した。「生きた証人」に対してのリスペクトと実質的な対価として、複数回払いの報酬体系を採用した。
撮影当日のサポート体制
撮影当日、フリードのリサーチャー1名は現場に常駐した。単なる「仲介者」ではなく、田中さん夫婦と撮影クルーの「通訳者」として機能した。農家の方言や日常語を翻訳し、監督の意図を田中さんにわかりやすく伝える役割だ。
撮影は2日間にわたり行われた。1日目は畑での作業シーン、2日目は自宅の縁側でのシーンが中心だった。田中さん夫婦は初日こそ緊張気味だったが、2日目には自然な笑顔が引き出され、監督・広告代理店双方から「求めていた絵が撮れた」という評価を得た。
CM公開後の反響と学び
2025年秋に放映されたA社の100周年CMは、SNSで大きな反響を呼んだ。「実在する100歳の夫婦だった」という事実がCMのリアリティを高め、ブランドへの共感が大きく広がったと代理店B社から報告を受けた。
このケースから得た最大の学びは、「条件が厳しければ厳しいほど、フリードの独自ネットワークが光る」という点だ。一般的なキャスティング会社や芸能事務所では対応できない「現実の人物発掘」こそ、フリードの核心価値だ。
■ このリサーチのポイントまとめ
- デスクリサーチ(独自データベース+公的記録)で候補を40名→3名に絞り込み
- 地域コミュニティへの段階的アプローチで信頼関係を構築してから接触
- 高齢者への撮影許諾は家族・医師を含む多者確認体制で安全に取得
- 撮影当日もリサーチャーが「通訳者」として現場をサポート
- 依頼から撮影完了まで約2か月半の行程
まとめ:人物リサーチで「100歳」を探すということ
「100歳の現役人物を探す」という依頼は、一見すると不可能に近い条件に思える。しかし、フリードは過去30年で積み上げた独自データベース・地域ネットワーク・リサーチャーの現場力を組み合わせることで、3か月以内にその条件を満たす人物を発掘し、撮影まで完了させた。
人物リサーチは単なる「人探し」ではない。候補者の人生・家族・地域との関係性を丁寧に理解し、敬意を持って接触するプロセス全体が「リサーチ」だ。フリードはその全過程を一社でハンドリングできる唯一の会社として、これからも現役で生き続ける人々の「100年の物語」を見つけ続ける。
人物リサーチ・CM人物発掘・100歳取材でお困りの方は、まずはフリードにご相談ください。秘密保持契約(NDA)の即日対応も承っております。